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コロナ禍の今こそ読みたいアルベール・カミュ『ペスト』!神父パヌルーと医師リウーに注目して紹介します!

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コロナウイルスが世界中に蔓延する今、アルベート・カミュの『ペスト』という小説が注目されています。今回は、二人のキャラクターに焦点を当てて、簡単に紹介してみたいと思います。

『ペスト』ってどんな話?

フランスの小説家・哲学者のアルベール・カミュが、1947年に発表した小説です。舞台はアルジェリアの港町・オラン。「194*年」という設定です。

4月16日の朝、医師リウーがネズミの死体を見たところから、物語は始まります。その後、オランの町にペストが蔓延していきます。オランの人々がペストという不条理とどのように向き合っていったのかが、ドキュメンタリータッチで描かれます。

この作品にはさまざまなキャラクターが登場します。パリの恋人と離れ離れになって苦しむ新聞記者のランベール。ペストが蔓延し都市封鎖されたおかげで逮捕される恐怖から解放された密売人のコタールなど。

みんなそれぞれに魅力的ですが、今回は、イエズス会の神父パヌルー医師のリウーに注目したいと思います。

神父パヌルーと医師リウー

神父パヌルーは、オランの人々に次のように語ります。

パヌルー
パヌルー

ペストは神が私たちに与えた罰です。正しい心を持っている者は、恐れる必要はありません。神を信じれば、必ず救われます。

一方、ペストと戦う医師リウーは、次のように言います。

リウー
リウー

私は神を信じない。私にはペスト患者を治療する責任があり、すべてを神に丸投げすることはできない。ペストと戦います。

現代の多くの人々は、医師リウーに共感するのではないかと思います。私もそうです。でも、神父パヌルーの考え方も、ひとつの知恵だと思います。人間にはどうすることもできないことは確実に存在します。そんな不条理に襲われたとき、神を信じることで心穏やかに過ごせるのならば、それは賢い方法なのかもしれません。

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オトン少年の死

10月下旬、オトン判事の幼い息子が、ペストに感染してしまいます。病状はどんどん悪化。リウーは最後の望みをかけてオトン少年に血清を注射しますが、そのことは少年の苦しみを長引かせるだけでした。

医師リウーは、神父パヌルーに怒りをぶつけます。

リウー
リウー

あの子に罪はないはずだ!本当に神がいるのだとしたら、なぜ神はあの子を殺したんだ!

パヌルー
パヌルー

・・・私たちには理解できないことがある。しかし、理解できないことを愛さなくてはならないのです・・・。

リウー
リウー

私は、子供たちが苦しんで死んでいくようにつくられた世界を愛することなどできません!

この対話の後、神父パヌルーも思うところがあったのか、ペスト患者の汚物や死体を処理する保健隊に加わり、献身的に働くようになりました。

神父パヌルーの死

その後、神父パヌルーが病気になります。パヌルーはすべての治療を拒否したため、病状は悪化。結局、十字架を握りしめて亡くなります。

死因は、ペストによるものかどうか、はっきりしませんでした。

パヌルーは、自分の命をかけて神の存在を証明しようとしたのかもしれません。

コロナ禍の中で思うこと

カミュが『ペスト』を書いてから、70年以上が経ち、医学はめざましい発展を遂げました。すでに私たちは、新型コロナウイルスで亡くなる人をできるだけ少なくするための知恵と技術を手に入れています。

ですが、それでも、現に亡くなる方はいます。なぜ、彼らは亡くならなければならなかったのか?私たちは、その疑問に対して納得できる答えをいまだ持ち合わせていません。

神父パヌルーと医師リウーの対話は、今も続いているのです。

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