4月4日 あんぱんの日
夏目漱石『カーライル博物館』
今余の案内をしている婆さんはあんぱんのごとく丸るい。余が婆さんの顔を見てなるほど丸いなと思うとき婆さんはまた何年何月何日を誦し出した。余は再び窓から首を出した。
— 青空文庫 (@aozora__bunko) April 3, 2021
『カーライル博物館』夏目漱石#あんぱんの日 #青空文庫
4月4日 ピアノ調律の日
寺田寅彦『備忘録』
たくさんな弦線の少しずつ調子の狂ったのを、一定の方式に従って順々に調節して行く。鍵盤のアクションのぐあいの悪いのを一つ一つたんねんに検査して行く。これは見ていても気持ちのいいものである。かゆい所をかくに類した感じがある。
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『備忘録』寺田寅彦#ピアノ調律の日 #青空文庫
すっかり調律を終わってから、塵埃を払い、ふたをして、念のために音階とコードをたたいてみていよいよこれで仕事を果たしたという瞬間はやはり悪い気持ちはしないであろうと想像される。
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『備忘録』寺田寅彦#ピアノ調律の日 #青空文庫
狂ったピアノのように狂っている世道人心を調律する偉大な調律師は現われてくれないものであろうか。
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『備忘録』寺田寅彦#ピアノ調律の日 #青空文庫
いわゆるえらい思想家も宗教家もいらない。ほしいものはただ人間の心の調律師であると思う時もある。その調律師に似たものがあるとすればそれはいい詩人、いい音楽者、いい画家のようなものではないだろうか。
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『備忘録』寺田寅彦#ピアノ調律の日 #青空文庫
しかし世の中にはあらゆる芸術に無感覚なように見える人があり、またこれを嫌悪する人さえあるように見える。こういう人たちは「心のピアノ」を所有しない人たちである。従って調律師などには用のない人である。
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4月4日 養子の日
田中貢太郎『薬指の曲り』
私の父と云うのは、私の家へ養子に来て、医師になったものでありまして、もとは小学校の教師をしておりました。其の当時は、医師に免許状を持たした時で、それまで医師をやっていた家へは、内務省からお情け免状をくれました。
— 青空文庫 (@aozora__bunko) April 4, 2021
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小山清『おじさんの話』
ばかを云っちゃいけねえ。むかしから養子に行った人には大人物がいるんだ。修身の教科書に名前の載っているような人には養子が多い。大石内蔵之助だって、伊能忠敬だって、みんな養子だ。
— 青空文庫 (@aozora__bunko) April 4, 2021
『おじさんの話』小山清#養子の日 #青空文庫