3月10日 ミントの日
片岡義男『彼のオートバイ、彼女の島』
ミント・ティーを、ミーヨは、とても気に入ってくれた。
— 青空文庫 (@aozora__bunko) March 10, 2021
夜の山のなかで、たき火の残り火を見ながら飲む熱いお茶として、このミント・ティーに勝てるものはほかにない。
『彼のオートバイ、彼女の島』片岡義男#ミントの日 #青空文庫
3月10日 サボテンの日
小栗虫太郎『「太平洋漏水孔」漂流記』
そこへ、赤子の手のような前世界の羊歯や、まるでサボテンみたいに見える蘇鉄の類が群生し、そのあいだを、血のような蝙蝠が飛び、鳴き亀が這うといったら、まず地球前史の風物というよりも化物の世界だろう。
— 青空文庫 (@aozora__bunko) March 10, 2021
『「太平洋漏水孔」漂流記』小栗虫太郎#サボテンの日 #青空文庫
3月10日 見合いの日
坂口安吾『てのひら自伝―わが略歴―』
恋愛結婚を進歩的だといって、見合い結婚をバカにするが、恋愛などタカの知れたものだということがいずれ看破せられると、人まかせの見合い結婚、ここにはかけのスリルがあって、百年先の文化人のオモチャになるかも知れない。
— 青空文庫 (@aozora__bunko) March 10, 2021
『てのひら自伝―わが略歴―』坂口安吾#見合いの日 #青空文庫
3月11日 夢野久作の命日
夢野久作『ドグラ・マグラ』
……お兄さま……お兄さまお兄さまお兄さま。なぜ……なぜ返事をして下さらないのですか。あたしです、あたしです、あたしですあたしです。お兄さまはお忘れになったのですか。妾ですよ。あたしですよ。
— 青空文庫 (@aozora__bunko) March 11, 2021
『ドグラ・マグラ』夢野久作#青空文庫 #夢野久作
3月12日 財布の日
寺田寅彦『丸善と三越』
ほしい本はたくさんあっても財布の中はいつも乏しかった。しかしただ書棚の中に並んでいる書物の名をガラス戸越しにながめるだけでも自分には決して無意味ではなかった、ただそれだけで一種の興奮を感じ刺激と鞭撻を感ずるのであった。
— 青空文庫 (@aozora__bunko) March 11, 2021
『丸善と三越』寺田寅彦#財布の日 #青空文庫
3月12日 咲顔(えがお)の日
太宰治『人間失格』
まったく、その子供の笑顔は、よく見れば見るほど、何とも知れず、イヤな薄気味悪いものが感ぜられて来る。どだい、それは、笑顔でない。この子は、少しも笑ってはいないのだ。その証拠には、この子は、両方のこぶしを固く握って立っている。
— 青空文庫 (@aozora__bunko) March 12, 2021
『人間失格』太宰治#咲顔の日 #青空文庫
夢野久作『微笑』
その人形を壊してしまいたくなった。その微笑をメチャメチャにしたくなった。私は人形を抱き上げて、静かに首をねじって見た。するとその首は、殆んど音も立てないで、ポックリと折れた中から、竹の咽喉笛がヒョイと出て来た……人を馬鹿にしたように……。
— 青空文庫 (@aozora__bunko) March 12, 2021
『微笑』夢野久作#咲顔の日 #青空文庫
3月13日 サンドイッチデー
江戸川乱歩『怪人二十面相』
壮太郎氏と壮一君は、洋館の二階の書斎に籠城することになりました。書斎のテーブルには、サンドイッチとぶどう酒を用意させて、徹夜のかくごです。
— 青空文庫 (@aozora__bunko) March 12, 2021
『怪人二十面相』江戸川乱歩#サンドイッチデー #青空文庫
3月14日 円周率の日
蘭郁二郎『脳波操縦士』
私は、仕方なしに、東京から、数日を費して、円周率に関する書籍を取り寄せて見た。
— 青空文庫 (@aozora__bunko) March 14, 2021
然し、矢張り隠されたような意味を、発見することは出来なかった。
『脳波操縦士』蘭郁二郎#円周率の日 #青空文庫