歴史

【目次】伊藤邦武・山内志朗・中島隆博・納富信留責任編集『世界哲学史3―中世Ⅰ超越と普遍に向けて』(ちくま新書、2020年)

歴史
  1. はじめに 納富信留
  2. 第1章 普遍と超越への知 山内志朗
    1. 1 中世という時代
    2. 2 超越ということ
    3. 3 普遍という視座
  3. 第2章 東方神学の系譜 袴田玲
    1. 1 ビザンツ帝国における哲学と神学の位置づけ
    2. 2 グレゴリオス・パラマスにおける身体へのまなざし
    3. 3 ビザンツ正教のその後と『フィロカリア』
  4. 第3章 教父哲学と修道院 山崎裕子
    1. 1 教父たちと修道生活
    2. 2 アンセルムスの神学と哲学
    3. 3 一一世紀から一二世紀へ
  5. 第4章 存在の問題と中世論理学 永嶋哲也
    1. 1 はじめに
    2. 2 中世論理学のラフ・スケッチ
    3. 3 ボエティウス―カモメの皮を被ったタカ?
    4. 4 アベラール―中世哲学の狼
  6. 第5章 自由学芸と文法学 関沢和泉
    1. 1 複数の自由学芸(リベラルアーツ)
    2. 2 文法学と註解の伝統
  7. 第6章 イスラームにおける正統と異端 菊地達也
    1. 1 はじめに
    2. 2 イスマーイール派の起源
    3. 3 極端派と創世神話
    4. 4 一〇~一一世紀における教義修正
    5. 5 おわりに
  8. 第7章 ギリシア哲学の伝統と継承 周藤多紀
    1. 1 註解書というスタイル
    2. 2 ギリシア哲学の伝統と継承
    3. 3 おわりに―註解の営みの意義
  9. 第8章 仏教・道教・儒教 志野好伸
    1. 1 言語
    2. 2 精神、霊魂
    3. 3 孝
  10. 第9章 インドの形而上学 片岡啓
    1. 1 認識論的転回以後の論争史
    2. 2 実在をめぐる問い
    3. 3 認識論
  11. 第10章 日本密教の世界観 阿部龍一
    1. 1 はじめに―寓話から哲学史へ
    2. 2 空海の生きた時代と社会―文章経国的時代
    3. 3 文章経国的「正名」の理論と空海の密教的世界観
    4. 4 空海の密教的言語論の世界
    5. 5 まとめ―天皇の王権を真言化する
  12. コラム1 ローマ法と中世 薮本将典
  13. コラム2 懐疑主義の伝統と継承 金山弥平
  14. コラム3 ギリシアとイスラームをつないだシリア語話者たち 高橋英海
  15. コラム4 ギリシア古典とコンスタンティノポリス 大月康弘

はじめに 納富信留

第1章 普遍と超越への知 山内志朗

1 中世という時代

中世とは何か/古代文化の継承としての中世

2 超越ということ

中世が古代に付け加えたもの/往還と旅の時代/精霊論をめぐる枠組み/中世を新しく見るために

3 普遍という視座

普遍性ということ/実体論を越えて・メディウムの視点から中世を見ること/「世界哲学」とは何か

第2章 東方神学の系譜 袴田玲

1 ビザンツ帝国における哲学と神学の位置づけ

はじめに/「キリスト教化したギリシア人のローマ帝国」/ビザンツ帝国における古代ギリシア哲学の伝統/東方神学とギリシア哲学

2 グレゴリオス・パラマスにおける身体へのまなざし

ヘシュカスム論争とグレゴリオス・パラマス/受肉と神化/身体も神化に与ること

3 ビザンツ正教のその後と『フィロカリア』

『フィロカリア』編纂とその影響/救いとしての神化/おわりに

第3章 教父哲学と修道院 山崎裕子

1 教父たちと修道生活

中世初期/教父/修道生活

2 アンセルムスの神学と哲学

カンタベリーのアンセルムス/知解を求める信仰と神の存在の証明/悪の問題/「なすべきではないものへの指向」としての離反

3 一一世紀から一二世紀へ

修道院神学とスコラ哲学/シャルトル学派/サン=ヴィクトル学派

第4章 存在の問題と中世論理学 永嶋哲也

1 はじめに

「かの哲学者アリストテレス」/見取り図―今から何が物語られるか

2 中世論理学のラフ・スケッチ

中世人にとっての「論理学」/旧論理学/新論理学

3 ボエティウス―カモメの皮を被ったタカ?

ボエティウスという人物/普遍の問題―ポルフュリウス『エイサゴーゲー』/真理と存在―ボエティウスによる解答

4 アベラール―中世哲学の狼

ボエティウスの継承と離反/アベラールという人物/言語と存在―アベラールによる解答/中世論理学の発展と再発見

第5章 自由学芸と文法学 関沢和泉

1 複数の自由学芸(リベラルアーツ)

生成する書物/自由学芸とリベラルアーツのあいだ/混乱のなかの自由学芸(リベラルアーツ)/自由学芸(リベラルアーツ)は人を自由にする(?)/書物の技芸としての自由学芸

2 文法学と註解の伝統

文法学の歴史を追うことの意義/断絶か、連続か―島嶼文法家たち/註解と著者性、そして校訂の困難/アルクイヌス―諸権威を論拠に基づいて調和させる/文法学のその後―思弁文法学、様態論へ/大航海時代―文法学化―の前夜に

第6章 イスラームにおける正統と異端 菊地達也

1 はじめに

「正統」と「異端」の境界線/イスマーイール派思想史とギリシア哲学

2 イスマーイール派の起源

シーア派の成立とイスラームにおける「異端」と「正統」/イスマーイール派の成立

3 極端派と創世神話

イスマーイール派と極端派/イスマーイール派の源流思想とは何か?/イスマーイール派と「神話」

4 一〇~一一世紀における教義修正

ペルシア学派/ファーティマ朝下での教義修正

5 おわりに

イスマーイール派における「哲学」と「神話」

第7章 ギリシア哲学の伝統と継承 周藤多紀

1 註解書というスタイル

はじめに―西洋中世哲学と「註解」/註解書の対象となった書物/註解書の構成と序文/テキストの構造分析/逐語的な註解―プラトン『ティマイオス』の註解書から/概説(パラフレーズ)―「創世記」の註解書から/註解書で論じられた問題―アリストテレス『ニコマコス倫理学』の註解書から

2 ギリシア哲学の伝統と継承

ホメロスからウェルギリウスへ/プラトンとアリストテレスの一致/普遍(イデア)の問題

3 おわりに―註解の営みの意義

探求的・創造的行為としての註解

第8章 仏教・道教・儒教 志野好伸

1 言語

仏教の衝撃/儒教解釈の刷新/玄学/仏教・道教の経典観

2 精神、霊魂

神滅不滅論争/体と用/体用と本末

3 孝

自分の肉体と孝/仏教・道教の孝/割股と孝

第9章 インドの形而上学 片岡啓

1 認識論的転回以後の論争史

インド哲学の潮流/認識論におけるディグナーガの衝撃/八世紀の哲学綱要書に見る諸論点/仏教とバラモン教の対立/諸論師の年代

2 実在をめぐる問い

存在論の二潮流/原子論と部分・全体/普遍論争とアポーハ論

3 認識論

プラマーナ(認識手段)的転回/推論の前提となる遍充関係/真理論と反証可能性/錯誤論の射程

第10章 日本密教の世界観 阿部龍一

1 はじめに―寓話から哲学史へ

密教の起源を示す伝承/鉄塔の象徴するもの―寓話(非歴史)と哲学史の結びつき

2 空海の生きた時代と社会―文章経国的時代

空海の密教を「世界哲学史」の立場から見るために/儒教が優勢を占めた文章経国的時代/経国的機関としての大学の重要性/空海が大学で学んだことの哲学史上の意義

3 文章経国的「正名」の理論と空海の密教的世界観

経国時代を代表する人物としての空海/時代的制約を超えていく空海の密教的な世界観/正名の理論とその限界/密教的世界観による正名の理論の乗り越え

4 空海の密教的言語論の世界

真言の理論①〈全宇宙としてのテクスト〉/真言の理論②〈A字の否定性から生み出される言葉と物〉

5 まとめ―天皇の王権を真言化する

差異をめぐる現代思想と空海の違い/真言と字音表記と仮名文学の時代

コラム1 ローマ法と中世 薮本将典

コラム2 懐疑主義の伝統と継承 金山弥平

コラム3 ギリシアとイスラームをつないだシリア語話者たち 高橋英海

コラム4 ギリシア古典とコンスタンティノポリス 大月康弘

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