歴史

人類の進化。明石原人とは?牛川人骨はサル?ナウマンゾウ?

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前回、更新世の時代に人類は歩いて日本列島にやって来た。とお話ししました。では、日本列島にやって来たわたし達の祖先はどんなヒトだったんでしょう?

今回は、人類の進化と日本列島にやって来た人類の特徴を説明します。

日本への道は2つ。北海道ルートと九州ルート

更新世。これ氷河期のことですね!覚えてますか?この更新世の寒い時期、日本列島と中国大陸は陸続きになって、人類は歩いて日本にやってきました。

でもいくら更新世とはいえ、日本列島が大陸がつながっていた場所は大きく2つの道しかありませんでした。私たちの祖先はそのどちらかの道を通ってやって来たんです。

<大陸と陸続きとなる道>

  • シベリア経由の北海道ルート・・・マンモスやヘラジカが伝来
  • 朝鮮半島経由の九州ルート・・・ナウマンゾウやオオツノジカが伝来

北海道ルートはより寒い地域の道なので、寒さに強いマンモスヘラジカがこの道を通って日本列島にやって来たと推測されます。

一方で九州ルートは、更新世でもちろん寒いんですが北海道ルートに比べて温暖だったので、少し毛が短いナウマンゾウオオツノジカがこの道を通ってやって来たと推測されます。

人類が動物を追って日本列島に来たってなぜわかるのか?

北海道ルートと九州ルート。この2つの道を通って大型動物が日本に来る。そして動物を追って人類も日本列島にやって来る。とザックリ説明してますが、なんでわかるんでしょう?

残念ながらわたしはタイムマシーンを持っていません。

だから実際に見てきた訳じゃないんです・・・

でもデタラメを話しているんじゃないですよ。そう推測できる証拠が残っているんです。証拠も一緒に説明したらみんな納得してもらえると思います。

長野県野尻湖遺跡の発見。

長野県にある野尻湖という湖の中から遺跡が見つかりました。この遺跡ではナウマンゾウの牙と骨の他に打製石器が発見されたのです!!打製石器とは石を打ち欠いて作った道具のこと。つまり人類の痕跡です。ナウマンゾウは打製石器を使うことはありません。なのでこの遺跡の持つ意味は、”ナウマンゾウを食べるために使った打製石器と、残った骨と牙”が存在しているということなんです。

この野尻湖遺跡の発見によって「人類は大型動物を追って日本列島にやって来た。」という定説が生まれたって訳です。

日本にやって来た人類はすべて【新人】

人類の進化は4段階です。中学校でも習いますね。

①猿人 → ②原人 → ③旧人 → ④新人  この4段階!

二足歩行が可能になった猿人。道具を使いコミュニケーションを図った原人。死者の埋葬という習慣がすでに始まっていた旧人。そしてわたしたちの直接的な祖先となる新人。この4段階に区分されるのですが、日本史的には【新人】が最も重要です。

なぜなら、今まで勉強してきた大型動物を追っかけて日本列島にやって来た日本人の祖先はすべて【新人】と考えられているから!

残念なんですが、猿人も原人も旧人も日本列島にはやって来なかった(もしくは死ぬ前に大陸に戻ってしまった)みたいなんですよね。お隣の中国では「北京原人」が確認されていて、原人も中国大陸までは確かに存在したみたいなのに、「どうしてあとちょっと日本まで来てくれなかったんだ~」って感じですね(笑)

教科書に載っていた【明石原人】の記載は現在削除。

ここで40歳以上の方は驚かれるかもしれないんですが、25年頃前まで教科書に載っていた【明石原人】と【牛川人骨】は現在はなかったことにされています!!

明石原人とは、兵庫県明石市で発見された人骨で、発見当時もその評価はさまざまだったんですが教科書には「日本最古の人骨 明石原人」と記載されていました。しかし現在の研究では99%が新人以降の現代人の骨ということが明らかとなったのです。

牛川人骨とは、愛知県豊橋市で発見された人骨で、旧人段階の背の低い女性の骨と判断されていました。明石原人が現代人の骨と分かったあと、「日本最古の骨」は牛川人骨とされていたんです。しかしその後ナウマンゾウの骨ではないか。サルかもしれない。と議論され、現在は「ヒトを含む動物の骨」ということで公開されています。まぁ動物の骨の可能性が高いということでしょうね。

つまり、今後の研究で大発見があり教科書の記載がガラっと変更することがあるかもしれないんですが、現段階で日本で確認されている化石人骨はすべて【新人】段階のものってことで、覚えてほしいのは以下の3つです。

<日本の更新世化石人骨>

山下町洞人(沖縄県で発見)→現段階では日本最古の人骨

浜北人(静岡県で発見)

港川人(沖縄県で発見)

中国大陸まで原人が来てるのだから、日本列島に原人・旧人が日本列島に存在していてもいいのに。っていうか居たら面白いのに!と思うのですが、今後の研究に期待ってことで今日は上記の3種類の化石人骨の名前と出土した場所をインプットしましょう。

日本人の人種は黄色人種。モンゴロイドって言うよ

最後におまけ。世界にはたくさんの人がいて、生物学上の特徴で人種に分類されていますね。人種も細かく見れば色々な種類があるのだけど今日は主な3つだけ。

  • 黄色人種(モンゴロイド) 
  • 白色人種(コーカソイド) 
  • 黒色人種(ネグロイド)

日本人は黄色人種。肌の色が黄色で瞳の色と髪の色が黒いのが主な特徴でアジアに多く分布してますね。日本語はアルタイ語系に属すると教科書には書かれていますが。「へぇ~そうなんだ」と思っててくれれば十分です。

次回はようやく氷河期が終わり、完新世の時代に入りましょう。

<本日のまとめ>

(1)人類と動物は北海道か九州を通って日本列島にやって来た。

(2)人類伝来の痕跡は長野県野尻湖遺跡によって証明。

(3)山下町洞人・浜北人・港川人は【新人】段階の化石人骨。

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